2014年9月10日水曜日

iPod、僕に再び音楽をありがとう。〜iPod classic生産終了に寄せて〜

音楽にハマったのは高校一年生の頃だった。
周囲に比べお小遣いの少なかった僕は、今は亡きaiwaのカセットテープ再生機で、
友達に借りたCDをカセットテープに落として、何度も何度も聴いていた。
ブランキーも、ミッシェルも、ギターウルフも、テープがベロベロになるまで聴いてた。

バイトを始めてCDウォークマンを買った。
Panasonicのやつだったので正しくはウォークマンではないけれど。
やはりお金がなくて、友達に借りたCDを何度も何度も聴いてた。
Radiohead、Oasis、Blur。
英語が苦手で、正直、歌詞はよくわからなかった。

父が会社でバンドをやっていたので音楽と楽器は身近にあった。
父の歌う、オンチのフォークソングが僕は大っきらいだった。
だから父が酔っ払って家でギターを弾き歌い始めると、
いつもイヤホンで耳をふさいでブルーハーツか尾崎豊を聴いていた。
サラリーマンにはなりたかねぇ、と思った。

大学生になってMDウォークマンを買った。
スティック型のリモコン。
SONY製だし正真正銘のウォークマンだ。
シルバーのアルミ製で、かっこよかった。
その頃デザインに全く興味がなかった筈なのだが、
SONY製品を持っていることが嬉しかった。
ポストブリットポップをよく聴いていた。あと、少しずつ遡り始めた。
キンクスとかフーとかエアロスミスとかかっけえな、って思った。

就職して自分へのご褒美にCDウォークマンを新調した。
MDは音が悪いとか、やっぱりCDがいいとか言われてた頃だった。
コピーコントロールCDは意地でも買わなかった。
Vinesの2ndはレコファンのお兄さんにUS盤を取り寄せてもらって聴いてた。
ストロークス、リバティーンズ、ホワイト・ストライプス、ガレージロックリバイバルが僕の青春だった。



バンドをやってたけど、仕事と両立ができなかった。
病院に通い始めた。
クスリを飲み始めた。
バンドを辞めた。

すべての音楽が雑音に聞こえるようになってた。
毎日天井を見て過ごしていた。



一年半休職して、
知り合いの会社にバイトで入って、そのまま社員になった。
社員になって、初めての給料で自分ご褒美にiPod 30GBモデルを買った。
動画再生できるやつ。たしか第5世代とかだったと思う。

少しずつ音楽が聴けるようになっていた。でも相変わらず轟音ギターロックは騒音だった。
クラシックとか、シガーロスとか、ポストロックしか聴けなかった。

でも、iPodを手にしたときは本当に嬉しかった。
ロッキング・オンを読んでたら、海外のミュージシャンがインタビューで必ず、
僕のiPodは最高のDJだぜ、シャッフルモードってすげえんだぜって言ってた。



僕はパソコンが苦手だった。電源の切り方すらよく知らなかった。
たぶん、親がそうだったからだと思う。

iPodという便利なものがあると知ってたけど、Macしか対応してなかったし、
僕の実家は悪名高い、Windows MEだった。
FireWireなんて何語だって思ってた。

父が仕事で必要だと言って、やっとXPの入ったWindowsが家に来た。
僕は次の週に近所のヨドバシに行ってiPodを買った。
一週間で兄弟3人がiPodを買って、父のWindowsPCのHDDはすぐに溢れた。

少しづつギターロックが聴けるようになってきていた。
2007年3月に、大好きだったバンドが来日公演をやるって情報を得た。
新木場スタジオコースト。

お目当てのIdlewildはもちろん素晴らしかった。

その3時間前に、同じ会場で初めてpillowsを観た。
なんか、そこまでかっこよくなかった。
でも、気軽に話しかけられる友人みたいに、なんかまたライブに行きたいな、って思った。



他のギターロックは全て騒音だったが、pillowsだけはなぜか聴くことができた。
あのとき、iPodでpillowsを聴いてなかったら、僕は音楽から離れていたと思う。

ライブも定期的に通うようになった。
pillowsだけ。

イベントや、前座でいいバンドに当たると幸せだった。
9mm。くるり。モーサム。

いつの間にかギターをまた弾き始めた。



iPodとケータイを持つのが面倒という理由でiPhone 3GSを買った。
そのころには少しパソコンがわかるようになってたから、いろんなアプリを買って試した。
Twitterをやり始めた。今のアカウントだ。 

iPhoneは3GS→4S→5と買い替えてるけど、初めてiPodを買ったときの衝撃は感じ無かった。
ぼくにとってiPhoneは、自分がつらいときに助けてくれた、

あのクリックホイールの

iPodの

...友達みたいなものなんだ。絶対に、替わりにはならない。



いつしかのiPhoneのアップデートで、「iPod」アプリが「ミュージック」アプリになったとき、
時代の流れだなーと思った。
別に何も感じ無かった。


今日朝起きたら、iPod classicがラインナップからなくなってた。
少しさみしかった。



今日は
少しギターを弾こうと思う。

iPod、ありがとう。

そして、さよなら。

0 件のコメント:

コメントを投稿